台風といえばコロッケ?
いつの間にか「台風といえばコロッケ」という認識が、そこそこ定着しているようです。
元はネットのネタだったのに、それが台風が近づくとスーパーで「台風にコロッケいかがですか」と宣伝文句に使われるという事態にまで。
これにはさすがに驚きました。
だがしかし、氷河期世代の一人として言いたい。
台風といえば「劇場版 機動警察パトレイバー」(通称:劇パト)という傑作があることを。
機動警察パトレイバー the Movieとは
「機動警察パトレイバー the Movie」は「劇場版 機動警察パトレイバー」の1作目です。ファンの間では、通称「劇パト」「劇パト1」といわれています。
1989年公開の日本の劇場アニメで、監督は押井守。
押井守監督は「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」で有名です。
ざっとしたあらすじは、バビロンプロジェクトと呼ばれる国家的大規模土木事業が行われている東京が舞台です。レイバーといわれる作業用の汎用機が普及した世界。バビロンプロジェクトの一大拠点「箱舟」で篠原重工の技師一人、帆場暎一が自殺するところから物語は始まります。彼が仕掛けたレイバー暴走事件に、特車二課が「正義の味方」として立ち向かいます。
今の世界を予見したような近未来的な設定、新旧が混じった移り変わっていく東京の風景、組織のしがらみ、特車二課だけで最大の被害を食い止めるために立ち向かう活躍など。
SF作品でありながら、どこか日常を感じさせる面白い作品です。
劇パトと台風はこんな関係
肝心の「台風はどこに関係あるんだ?」と疑問に思いますよね。
レイバーの暴走トリガーに、特定の周波数が使われています。
捜査と推理を進めていくうえで、レイバーのさらなる大規模な広域暴走を引き起こすのに共振が使われているのではないかと推測されます。
犯人の起こす広域暴走を引き起こすのに必要なのは、台風級の暴風とそれを共振するために中心となる場所。
もし東京湾に台風が来ることで引き起こされるレイバーの暴走を止められなければ、首都圏は勿論、関東一円が大規模な暴走被害を被るという悪夢のような事態が発生してしまいます。
そして大型の台風がやってくることが判明し、箱舟が共振させる場所と判明します。
台風の中、特車二課が暴走を止めるために箱舟を破壊しに行く。
という事態が劇中で展開されます。
吹き荒れる暴風雨の中、援軍もなく孤軍奮闘する特車二課の面々。
彼らの活躍ぶりは、劇中の見せ場の一つです。
だからこそ作品を見た人なら、「台風といえばコロッケより劇パトだよね。方舟での活躍と崩壊だよね」となります。
たぶん私と同じ年代のアニメファンなら、「そうそう!」となると思います。
劇パトは娯楽作品として屈指の名作
古い作品ですから、その名前を聞いたことも見たことも無い人が多いかもしれませんね。
だからこそ、是非見てほしい。
「アニメだから」「昔の作品だから」と思う前に、何も考えずに見てみてください。
劇パトは実写、アニメというジャンルに関係なく、娯楽作品として名作だと思います。
ちなみにこの時代、まだセルが主流です。
今の映像に見慣れていると、技術的なことに古臭いと感じることもあるでしょう。
それでも見ているうちに、細かい事は気にならなくなります。
確かな演出、台詞回し、世界観に合った音楽、緊張感、爽快感。
作品に技術は必要ですが、名作の持つ魅力はそれが全てではないと感じます。
この監督が作る作品の世界は、非常に魅力的です。
エンディングの爽快感は、今でも珍しい作品だと思います。
「若者の物語」として描いているので、とても象徴的で、そしてオープニングと対照的なのも心憎いと思います。