大河ドラマ「麒麟がくる」が始まりました
出演が決定していた準主役級の女優の不祥事で、初っ端から2週間遅れの放送という前代未聞の大河ドラマ「麒麟がくる」、ついに始まりました。
本日(1月19日)は、第1話で90分拡大版です。
感想を端的に言えば、作り手側の「しっかりと作るぞ」という強い意志を随所に感じるいいドラマでした。
本編に興味もなくてもオープニングを見てみて!
「大河ドラマなんてつまんない」「興味がない」という人にも、一度は見てほしいのがオープニングです。
これが実にかっこいい!
- 映画のような映像
- 書体から感じる映画感
そう、映画のようなかっこよさなを詰め込んだオープニングなんです。
どこか昭和の時代劇や特撮映画を感じさせるオープニングに、気持ちが高ぶりました。
衣装がカラフル背景も色鮮やか
今までの時代劇の中でも、珍しく衣装がカラフルです。
恐らく従来の時代劇のイメージが強い人は、違和感を覚えるかもしれません。
舞台になっているの室町時代後期~安土桃山時代中盤ぐらいでしょうか?
(公式サイトは戦国時代~安土桃山時代。人物達をどの程度までえがくのかまだ不明)
その時代の服は私たちが時代劇で思い浮かべるような地味な色合いではなく、カラフルで派手目な物を普段着として着用していたようです。
室町時代の田植えを描いた「月次風俗図屏風」や室町時代の子供たちが遊んでいる絵を見ると、原色の強い色や鮮やかな色、柄物などが見えます。
それを踏まえて、「麒麟がくる」の衣装はカラフルな色合いにチャレンジしているのかもしれません。
主人公である明智光秀は、画面で一目でわかる目立ち具合です。
そして庶民の中でも若者や、軍の下っ端に近い人は比較的明るめの色が多かったように思います。
対して身分の高い人や年配の人は、渋い色合いが多かったように見えました。
そこに刺し色や模様を使うのが、それぞれのキャラを立てているようで。
身分が高くても従来の時代劇のスタイルを、あまり崩していない人もいます。
もしかすると、新時代に追いついていない人かもしれません。
その色使いや柄が画面で重なると、黒澤明の「夢」や「乱」を連想しました。
あの独特の絵巻物のような色と柄の世界。
そう思っていたら、衣装デザイナーの方が黒澤明の「夢」に参加していた人なんですね。
納得してしまいました。
背景や陽の光などの鮮やかさは、4K放送対応のためだと思います。
4K対応TVでないと本来の色に変換されず、眩しく明るめに画面に出たものと思われます。
私のTVは4K対応ではないのですが、逆にそれが「麒麟がくる」を絵巻物の世界のように感じさせました。
時代の暗い面も隠さず演出に取り入れている
これは数年前の大河ドラマから顕著なのですが、当時の暗い面もさらりと演出に載せてくるようになっています。
私の記憶にあるのは、真田丸からでしょうか。
「麒麟がくる」は、人買いや野盗の襲撃、僧兵による関所の税の徴収、当時の京の治安の悪さをきちんと描いていました。
鮮やかな絵巻物のような世界に、荒んだ時代の価値観や状況を入れるのは「逃げてないな」という感じがして好きです。
さすが大河、いい役者揃っている
大河ドラマは本当にいい役者さんが、沢山出てきます。
今回私が注目しているのは、斎藤道三(本木雅弘)、松永久秀(吉田鋼太郎)です。
斎藤道三の抜け目のないかっこうよさ、そしてどこか胡散臭くて怪しいけど誠実さもありそうな松永久秀。
松永久秀は爆死とよく言われますが、あれは史実ではなく逸話です。
ですがそれに関係なく、爆死してほしいと強く思いました。
史実と逸話のバランスが、とてもうまく演じられそうでワクワクします。
第1話でタイトル回収と同時に彼が渦の中心になると予感させる
1話はとにかく建物が燃えます。
さすが乱世、街中だろうが田舎だろうが本物の火を多用して燃えます。
そんな最悪の秩序の中、「平和な時代には麒麟がやってくるんだって」とタイトル回収の台詞があります。
しかし光秀は速攻で「麒麟なんかいない」「麒麟なんてみたことない」と否定します。
彼が各地をうろうろとしている映像をバックに。
彼は若い頃各地を放浪していたという話も残っていますし、そこから使ったのでしょう。
否定した後すぐに「麒麟がこなければ駄目なんだ」と、結びます。
動乱の時代を安定させるには、それに対抗する大きな変革が必要です。
それはつまり、この先大きな混乱が必要だという事です。
それを光秀に言わせることに、彼がこの先物語の渦の中心となる事を連想させていいなと思いました。
混乱した時代を安定させるために、さらなる混乱をもって時代を収束させる必要がある。
それは矛盾のようですが、過去の歴史を見ると真実だと思います。
彼の歴史上の役目を見ると、皮肉ですが、大きなきっかけとなったのは間違いありません。
素直に「面白いな」と思える大河ドラマが始まった
1話は野盗の火で始まります。
光秀といえば、本能寺の変。
この先彼は、火とどのようにかかわってくるのでしょうか。
火に襲われた彼が、終盤には火をどのような意味を込めて使うことになるのか。
あるいは対峙するようになるのか。
「一人の青年の物語として楽しめるドラマ」という事なので、この先が早く見たいです。