3話のあらすじ
3話は、2話の斎藤道三が土岐頼純を毒殺した波紋から斎藤家に仕込まれた将来の影と、今川義元登場までです。
斎藤道三が毒殺した土岐頼純は、形式上は道三の主君に当たります。
実質上の実権は道三が握っているとはいえ、守護の持つ権威はまだまだ馬鹿にできません。
織田家との戦後処理のためにも、自身の権力を内外に維持するためにも新しい守護を立てなければなりません。
そこで当主争いに負け、隠居状態だった土岐頼芸を引っ張り出します。
斎藤道三の娘であり土岐頼純の嫁であった帰蝶は、父と旦那の確執の結果に悩みます。
傀儡政権のトップとなった土岐頼芸は、斎藤道三を倒すために密かに織田家に出陣を要請します。が、今川義元が織田家の領地に侵攻開始し、織田家はどう対処するか。
ここまでが、3話のあらすじです。
明智光秀は時代の表舞台に立つどころか、まだまだ自分の家の事や戦後復興に手いっぱいです。
助けた三河の農民、菊丸がお礼に来たり、従妹の帰蝶と話したり、学友の斎藤高政の胸の内を聞いたりと、明智光秀はストーリーテラーの役割です。
3話の斎藤道三と土岐頼芸のやりとりは最高の見どころ
先週の斎藤道三が土岐頼純を毒殺するシーンは、道三の粛々とした恐ろしさが大評判でした。
ご機嫌伺い&守護への就任依頼に来た斎藤道三に向って、
土岐頼芸「(頼純を)毒殺したんだろ?」
斎藤道三「まさか!」
そして「織田家との戦いの戦後処理のため」という名目で、空席の守護への就任以来する斎藤道三と土岐頼芸とのやり取り。
土岐頼芸「わしはまだ毒は盛られたくない(から、守護に就任したくない)」
斎藤道三「操り人形に毒は盛りませぬ」
静かに拒否の意を伝える土岐頼芸に対して、相手の目をそらさず言い放つ斎藤道三。
この一連のやり取りは、2人とも激昂することも泣くことも茶化すこともありません。
ただ世間話をする静かさで、それでいて、どちらが本当の「主君」であるかはっきりとわかります。
本木雅弘の目力と所作が言葉以上の圧倒的な存在感を出し、それを尾美としのりが何処か他人事で冷めた態度で相対します。
素晴らしい場面でした。
2人の人物像がよく出てて、名場面だと思います。
土岐頼芸も中々したたかな人だと思った
斎藤道三の怖さは当然なのですが、土岐頼芸も中々したたかさと冷酷さを持っている人物だと感じます。
自分と権力争いをして勝った難い兄弟の息子とはいえ、自分にとって甥です。
彼が死んだことに対しても、特に感情を抑えるわけでもなく世間話をするように淡々と、そして何処か他人事のように「甥が死んだんだよね。殺したでしょ?」と話しかけるところに、静かな凄味を感じました。
甥の死を「お前の操り人形になるのは嫌だ」と、まず交渉材料として冷静に切り出すわけです。
本音は「俺の甥を殺しやがって」と、怒り心頭なのかもしれません。(まずないだろうけど)
万が一そうであっても、自分が有利になるように交渉材料の1つとして利用します。
このしたたかさ、熾烈な権力争いを経験してきた風があっていいですね。
私は好きです。
土岐頼芸は遅延性の毒を斎藤高政に注いだ
土岐頼芸が持つしたたかさを感じた場面は、もう1つあります。
それは斎藤道三の息子、斎藤高政に対する言葉です。
斎藤親子が自分に会いに来て、先に斎藤道三が退室します。
そこを見計らって、「母は元気か?」と世間話のように斎藤高政に声をかけ、油断させてからの衝撃的な言葉を耳元でささやきます。
「お前の父は斎藤道三という事になっているが、本当の父親は私だ」
斎藤高政の実母は、土岐頼芸の元愛妾です。
両家が協力関係を結ぶために、土岐頼芸は斎藤道三に愛妾を下げ渡しています。
母が悪い冗談だと「お前の父親は道三だ」と返答しても、斎藤高政はどこか納得していません。
それは自分の父親問題だけではなく、普段から斎藤道三への不満がたまっていたためでもあります。
道三の統治方法や失策についての本音を明智光秀に打ち明けますが、こう結びます。
「(自分は)土岐頼芸に味方したい」
本人は意識しているかどうかわかりませんが、斎藤道三にとって長男が敵対相手になったという事です。
「長男が跡取りである」という不文律が確立したのは、室町時代よりも後の時代です。とはいえ、この時代でも「跡取りは長男」というのが原則です。
(他の兄弟、親族が奪い取ることもあり。母親の身分、当主の意向で代えられるのも多々あり)
不満を隠して黙って従っていれば、ほぼ確実に自分が斎藤家の跡取りです。
それを敵対心、いや、斎藤高政に芽生えた反骨心が、足元をぐらつかせている事に気が付いていません。
斎藤道三が、彼の変化を見落とすでしょうか?
彼の持つ情報網と実行力は、先の毒殺の件で証明されました。
斎藤高政は、土岐頼芸にささやかれている事を斎藤道三に見られていたことにも気が付いていませんでした。
あまりにも脇と考えが甘い長男です。
斎藤道三は、自分の敵対者として、娘婿であり主君の土岐頼純に毒を盛りました。
土岐頼芸は、自分の敵対者の息子を、遅効性の毒として仕込みました。
歴史の事実として、斎藤高政と斎藤道三の間に起った出来事がどう描かれるのでしょうか。
この毒がいつ効果を発揮するのか、劇中の描かれ方ワクワクしています。
4話はついに今川義元が大活躍?!
「今川義元がでる」と楽しみにしていましたが、最後にちらっと出てきただけでした。
本格的に活躍するのは4話からでしょう。
従来今川義元は桶狭間の戦いの印象で、公方風の馬鹿殿として描かれることが多くありました。
しかし最近の大河は、名将であったり聡明な人物として描かれることが増えてきました。
ですのでこちらも楽しみです。
もう一人気になるのが、菊丸です。
三河の農民で薬草に詳しくて、というのも気になるんですよね。
将来の設定の伏線なのでしょうか。
こちらも注目してみたいと思います。