「ジョジョの奇妙な冒険」5部が好き
「ジョジョの奇妙な冒険」で何部が好き?と聞かれたら、私なら5部と6部と答えます。
5部は「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」、6部は「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」です。
最近5部を読み直したのですが、改めてその魅力にハマりました。
今回は5部の魅力について書きたいと思います。
5部の好きな点をあげていく
私が5部を好きだと思う理由は
・物語がスリリングな映画やドラマのような緊迫感
・個性的でかっこいいキャラが多い
・追跡と逃亡劇の緊張感
・主人公と仲間達が「社会のはみ出し者」という今までにない設定
・「社会のはみ出し者」達の主人公たちが、最も「正義」を行う
・主人公の夢が「ギャングスターになる」という意外性から始まる物語
・ボスの意外性
・ボスの最後
全体の物語は、追跡と逃亡撃で構成されています。
冒頭の主人公ジョルノ・ジョバァーナと4部主要キャラの広瀬康一、ジョルノ・ジョバァーナとブローノ・ブチャラティ、ブチャラティチームと暗殺チーム、ブチャラティチームとボス。
常に追う者と追われる者、探る者と妨害する者。
この対決とやり取りが作中で随所にあります。
普通はこれだけ対決が続くと、マンネリや中だるみがあります。
しかしこの繰り返しが、物語を盛り上げます。
適度な緊張感と緊迫感、謎解きを押し進めていきます。
これはスタンド能力の面白さと、魅力的な登場人物達が大きな魅力となっています。
特にボスの娘トリッシュを護衛しつつボスの指定場所へ連れていく前後。
ここで物語が大きく動きます。
ブチャラティとそのチームの運命が劇的に変わり、ボスとの戦いへと向かっていくのです。
これまでとは違う大きな試練を乗り越えて、目的を遂げる。
結果だけではなく、それまでの過程が「必要な旅路」だったと思わせる面白さがあります。
敵も味方もスタンド使いが魅力的
いわゆるスタンドバトルが多数行われるのですが、そのスタンド使い達が実に個性的で面白いです。
ボスの娘であるトリッシュ以外はギャング。
つまり基本的に物騒な人物しかいません。
しかもギャング組織内部の争いなので、スタンド戦も容赦がないです。
スタンド能力をフルに使っての殺し合いとなります。
スタンド能力は発動するまで不明で、それも緊張感があります。
その戦いを通してわかるのが、スタンド使いの人物像。
誇りと信念と成長。
特に成長に関して5部で一番有名なのは、暗殺チームのペッシではないでしょうか。
マンモーニ(ママっこ)といわれるほど弱気な彼が、対ブチャラティ戦で恐ろしく精神が強く強敵になっていきます。
だが精神の成長に心が追い付かない事が、敗因となりました。
スタンド戦において精神の強さは重要ですが、勝敗を分けるのはそれだけではありません。
気高い心と揺るがない信念、勝つための執念。
例え限りなく無敵なスタンド能力でも、どんなに圧倒的な強さを持っていても。
暗闇の中で消えそうな光が残っているのならば。
その光が希望となって勝利を手繰り寄せるのです。
これが徹底しています。
だからこれだけ密度の高いスタンド戦が続いても、もたれません。
プロシュートの自身が死ぬ寸前まですてない戦う姿勢、自身の目的のために組織をのっとる事を決意して勝ち抜いていくジョルノ、自身の信じる正義のために命をかけてトリッシュを守ろうとするブチャラティ。
敵も味方もとても魅力的です。
一番好きなのはブチャラティですね、私は。
自分の正義を通すために「ギャングスターになる」
「ギャングスターになる」
ジョルノのこの言葉は文字通りの意味でとらえると、ギャング組織のトップになり替わる、組織を手に入れるという野望です。
しかしその真意は、別にあります。
「子供に麻薬を売るような事をやめさせるには、組織のトップになり替わって抑えるしかない」
という彼独自の正義の心からでた言葉です。
内部改革を行うという意味ですが、組織が組織だけに非常に危険。
でも彼の意思は、どんな時も揺るぎません。
例え人前で言えるようなまっすぐな正義じゃないとしても、彼の悪を何とかしようとする「黄金の精神」です。
自分なりの正義を貫く心です。
彼のこの思いが、5部の根底にあります。
ジョジョ5部、それは「眠れる奴隷」から「黄金の風」を受けとる物語
「運命とは『眠れる奴隷』」
誰も運命を変えることはできず、結末までの流れも結果も決まっている。
人はどんな抵抗をしても無駄なのだ。
それは運命の元で眠るように抵抗せず、粛々と奴隷のようにただ運命に従うのみ。
ブチャラティチームのメンバーは、全員好んでギャングになったわけではありません。
人生の挫折、避けられない環境など、本人だけの力ではどうしようもない流れです。
そしてこのまま「死」を迎えるだけ。
これは前日譚で予告されていた事です。
結果として、彼らの死は避けられなかった。
しかし彼らは、ただの「眠れる奴隷」で終わりませんでした。
過去の事で諦めていた心が目覚め、自分の意思で真実にたどり着くためにあがききって倒れていったのです。
ではあがくことは無駄だったのか?
いいえ、そうではありません。
困難に対して諦めない意思、行動すること。
そうやって誰かが人生の意味をつかんでほしいという事。
例え死という結果が変わらなくても、目覚めた心は、もう以前の「眠れる奴隷」ではないのです。
その強い意志は、黄金の意思といえるでしょう。
特にボスとの最終戦後に吹く風がとても意味深です。
ブチャラティの意思が風に乗って、ジョルノに向かっているようです。
黄金の意思を含んだ風、つまり黄金の風。
ジョルノがボスとして君臨するシーンでも、風が室内に入り込みます。
優しい風が死んだ仲間たちの遺影のそばを通り、彼の元に届きます。
ジョルノは彼らの意思を受け継いだのです。
目覚めた「運命の奴隷」が残した「黄金の風」。
5部はまさに、美しく偉大な心の物語だと思うのです。