田舎の鯉のぼりのある風景
散歩していると、鯉のぼりをぼちぼちとみかけるようになってきました。
そんな光景を見ていると、子供の頃の風景を思い出します。
子供の日が近づくと沢山の鯉のぼりが、多くの家先でハタハタと風にのって泳いでいる光景です。
庭に立てられた家ぐらいの高さの竿に、吹き流し、お父さん、お母さん、子供の鯉が泳いでいます。
基本はこの4本ですが、家によっては孫や曾孫の鯉もいます。
くっきりとした鱗まわりに金色の縁取りがあり、光が当たってきらきらと輝いていました。
田んぼと鯉のぼりと緑におおわれた山。
これが私の覚えている、田舎の初夏の風景です。
でもこの鯉のぼりですが、私の田舎では昔は「鯉のぼりをしないこと」と決まりごとがあったと父に聞きました。
理由は家庭で鯉のぼりの規模や品に差がでるのを防ぐため。
はやい話が、各家庭の格差を表面化しないための決まりだったとの事です。
生々しいというか現実的というか。
田舎でのお互いの人間関係を壊さないために、というのが本音だったようです。
しかしある時、外から引っ越してきた人が、その取り決めを破りました。
それ以来鯉のぼり禁止は自然となくなり、皆鯉のぼりを出すようになったそうです。
これは私が生まれる前にあった話で、今は各家庭自由に鯉のぼりを上げています。
禁止理由といい、なし崩ししに解除された事といい、田舎の人間関係あるあるです。
だから私が覚えている鯉のぼりの風景は、下手をすると私も見れなかった光景です。
そしてその取り決めのために、同じような光景を見れなかった世代がいるという事です。
そういう事情を知ると複雑な思いですが、取り決めが無くなって良かったです。
街の鯉のぼりかわいくてびっくり
街中の鯉のぼりを初めて見たときは、びっくりしました。
何故なら、今まで見たことがないくらいかわいいサイズとデザインだったからです。
田舎で見ていた鯉のぼりはとても大きく空を泳いでいたからです。
しかしマンションや街の一軒家で泳いでいた鯉のぼりは、それよりも小さくて可愛らしいものでした。
玄関におけるような置物サイズもあります。
これを見たときはとても新鮮な驚きでした。
あまり大きなものは都会の住宅事情を考えると、飾るのもしまうのも邪魔です。
今ではこういう鯉のぼりの方が、主流なのでしょうか。
でも一番ほのぼのするのは、子供が書いた鯉のぼりです。
クレヨンなどで好きに色を塗ったものが、窓に貼っているのを見ます。
私も幼稚園の時にこういう風に自由に描いたのかな、とちょっぴりノスタルジーな気分になりました。
こういう鯉のぼりを見ると、「子供の頃は~」と思い出して歳をとった事にハッとします。
それと同時に「あるある~」という事も連想します。
それだけ自分が歳をとったんだなあという事ですね。